カスタマージャーニーとは、商品やサービスを認知してから、興味を持ち、購入に至るまでの一連のプロセスの中で、顧客がどのような感情や考えを抱き、そしてどのような行動をとるのかをわかりやすく整理することをいいます。
そして、ナーチャリングとは、顧客に有益な情報を提供し続けることで顧客の購買意欲を育成していくマーケティング施策をさしますが、効果的なナーチャリング施策を打つ上で「カスタマージャーニー」が有効な手法として注目されています。
カスタマージャーニーマップを作成する上では、
- 顧客をリアルに想像し、顧客の行動・考え・感情に共感する
- 闇雲に作成するのではなく、明らかにしたい問いやゴールを意識する
- ジャーニーマップを起点に施策を検討し、PDCAを回す
以上の3点が重要です。
今回の記事では、効果的なナーチャリング施策を打つための、カスタマージャーニーマップの作成プロセスから、重要なポイントに至るまで解説していきます。
カスタマージャーニーとは?
カスタマージャーニー(直訳:顧客の旅)とは、顧客が商品やサービスを初めて知ってから、理解や関心を深め、実際に購入するに至るまでのプロセスを「旅」と捉え、旅路のそれぞれの地点でどのような情報を収集して、どのような判断や思考を抱くのか、そしてどのような行動をするのかを整理するフレームワークをいいます。
言い換えれば、カスタマージャーニーとは、顧客が購買意欲を高めていくストーリーを、映画を見ているかのように、リアルにイメージすることをいいます。
ナーチャリングにおいてジャーニーマップ作成が重要な理由
効果的なナーチャリング施策を展開する上で、ジャーニーマップ作成は非常に重要です。
その理由を2つの観点からお伝えします。
顧客の視点をリアルにイメージできる
見ず知らずの他人に、その人が欲しがる誕生日プレゼントを買うことが難しいように、赤の他人である顧客に刺さるマーケティング施策を打ち出すことはすごく難しいです。
なぜなら、その人がどのような人生を歩んできたのか、そして今どのようなことが好きなのかなどについて、具体的なことを知らないからです。
そして、顧客に刺さるコンテンツや情報を継続的に発信することができれば、顧客との関係性は強固になり、購買意欲を高めることが可能になります。
顧客の購買意欲の高さに応じてマーケティング施策を検討できる
見込み客の中には、商品・サービスにほとんど関心がなく、情報だけを収集したいような人から、商品・サービスに興味があるけれどもきっかけがなく踏みとどまっているような人まで、様々です。
そうした見込み客全員に同じコンテンツを発信するのではなく、顧客の購買意欲の高さに応じて、それぞれに刺さる情報やコンテンツを提供することが重要です。
一例ではありますが、商品やサービスの必要性を感じていない人には、商品やサービスが解決する課題についての前提知識を発信したり、関心度が高い人には商品・サービスの魅力が感じられるイベントに招待するなどが考えられます。
それにより、購買意欲が低い顧客にはどういうコンテンツが刺さるのか、高い顧客にはどういうコンテンツが刺さるのかリアルにイメージしながら、それぞれにベストなコンテンツ・情報を発信することが可能になります。
ナーチャリングで結果を出すためのカスタマージャーニー作成プロセス
それでは、ナーチャリング施策を検討する上で、具体的にどのようにカスタマージャーニーを作成していくのか、見ていきましょう。
マップ作成の問い・ゴールを定め、フレームワークを作成する
まず第一に、ジャーニーマップを作成することを通じて明らかにしたい問いや、ゴールを定め、それを踏まえてフレームワークを作成していきます。
問いやゴールについては、例えば下記のようなものが挙げられるでしょう。
そして、問いやゴールを踏まえて、フレームワークを作成していきます。
フレームワークの横軸は、顧客が商品やサービスを認知してから、購入し、リピーターに至るまでの段階を複数に細分化して記載します。
例えば、下記のように整理できるでしょう。
「認知・興味関心・比較検討・購入・継続購入」
縦軸には、それぞれの段階における顧客の思考や感情、行動を整理すると共に、顧客ととりうる接点や、現状の施策の課題、検討すべき問いなど、ゴールを達成したり、問いを明らかにする上で必要な項目を設定していきます。
ペルソナを整理する
次に、カスタマージャーニーを作成する前提となる、ペルソナを整理していきます。
ペルソナを整理することとは、ターゲットの性別や職業、年齢層などの属性を捉えるだけでなく、性格や価値観、休日の過ごし方、目標に至るまで思い巡らせ、実際にその人が存在している様子をリアルにイメージすることをいいます。
ペルソナをリアルにイメージできるかどうかが、カスタマージャーニーの精度に関わってきますので、丁寧に整理しましょう。
フレームワークの内容を埋めていく
ペルソナが、商品やサービスの購買意欲を高めていく旅をイメージし、フレームワークの内容を埋めていきます。
担当者の想像で内容を埋めていくのではなく、アンケート調査や、インタビュー、過去コンテンツに対する顧客のフィードバックなどを参考にしながら、整理していきます。
整理していく上で、1人で埋めていくのではなく、複数のメンバーと共同で埋めていくこともおすすめです。それぞれで事前にフレームワークを埋めた上でディスカッションするのもいいですし、ワークショップ形式で議論しながら埋めていくのもいいでしょう。
マップ上のそれぞれのポイントごとに、ナーチャリング施策を検討する
カスタマージャーニーを整理した上で、顧客の購買意欲のフェーズごとに、とりうるナーチャリング施策を検討していきます。
カスタマージャーニーの作成により、顧客の感情や思考、行動が明らかになっているため、顧客の視点ではどういう情報やコンテンツが求められているか、自然と浮き彫りになっていくでしょう。
カスタマージャーニー作成において重要なポイント
カスタマージャーニーは、あくまで顧客視点で物事を捉えることを促すフレームワークであり、何も考えずに闇雲に作成しても意味はありません。
ここでは、効果的なナーチャリング施策を打ち出すというゴールを達成するために、どのようなことを意識してカスタマージャーニーを作成するのが良いか、解説していきます。
顧客をリアルに想像し、顧客の行動・考え・感情に共感する
カスタマージャーニーマップは、顧客の視点をリアルに想像することを促すフレームワークです。
映画を観たり、小説を読んだりする中で、主人公に感情移入することがあるように、顧客の購買に至るまでの旅を一緒に追体験する意識で、ジャーニーマップを作成していきましょう。
なかなか文章だけでイメージすることが難しい場合は、写真や絵などをジャーニーマップ上に散りばめながら、イメージしやすくなるような工夫をしてみてもいいでしょう。
闇雲に作成するのではなく、明らかにしたい問いやゴールを意識する
ジャーニーマップの作成のゴールは顧客の視点に立つことで、効果的なマーケティング施策を打ち出すことにあります。
顧客の視点顧客の視点に没入する段階では、問いやゴールを意識する必要はありませんが、ある程度洗い出した段階で、問いに応えられているか、ゴールを達成できているかという観点で、見直してみましょう。
ジャーニーマップを起点に施策を検討し、PDCAを回す
顧客に関する情報が限られている中では、精度の高いカスタマージャーニーマップを作成できません。
ナーチャリング施策を継続的に行う中で、顧客についてのデータを収集し、それを踏まえてカスタマージャーニーマップ、ひいてはマーケティング施策をブラッシュアップしていくことが重要です。