オンラインショップなどのWebサイトやWebサービスを運営している人の中には、
「SNSの更新やWebコンテンツに力を入れているが、いまいち集客に繋がらない・・」
「AIを取り入れて効率化したいけど、いろいろありすぎて正直何が必要なのかわからない」
とお悩みの方も多いのではないでしょうか。
いくら良質なコンテンツを作り続けていても、見込み客が増えなければ意味がないですし、AI活用も使い方を誤れば売り上げには繋がらないです。
継続すればいつか成果が出ると思い続けていても、その間にもビジネス存続の危機は迫っているかも知れません。
せっかく努力してよいWebページや商品・サービスを提供しているのだから、もちろん売り上げに繋げたいですよね。
AIを効果的に活用できれば、さらに多くの人にそのサービスを見てもらえますし、効率よく成果に現れるでしょう。
現にAI導入でWeb広告の精度を高めたことにより、広告のクリックレートを従来の3倍に伸ばした企業や、AIによる商品レコメンドで売り上げアップ・リピーターを続々と獲得をしている企業が数多くあるのです。
この記事を読むことで、ご自身の状況や目的に応じたAIの活用方法がおわかりいただけます。
マーケティング業務の各領域によってどんなサービスを導入したらいいか、しっかりポイントを抑えて上手に活用していきましょう!
Webマーケティング分野でも活用が進むAI
具体的にAIのどんな活用例があるかを見ていく前に、基本的なAIの知識について解説していきます。
一口にAIといっても種類が豊富で厳密な定義は難しく、人によってもイメージするものはさまざまでしょう。
ここでは大まかに、AIにはつのレベルがあることをご紹介していきます。
現在のAIには3つのレベルがある
ルールベースのAI
機械に対して人間が一定のルール(人間の経験によって得られた知識)を一つひとつ教え込むことで、忠実に人間の求める答えを導き出せるのがAIです。
たとえば、画像検索で同じ特徴を持った画像を判別させること。高度な性格や病気の診断のように、ある特徴にもとづいてYes、Noで答えていくことで結論を見出し、推論やアドバイスを行うことができます。
マシンラーニング(機械学習)のAI
ある答えを出すために人間に教えられた定義を元に、トレーニングを重ねることで機械自身がデータに潜むパターンやルールを見出してくれるAIです。
新たなデータ処理にそのルールを応用させることで判断や予測ができるようになります。
ただデータの中で着目すべき特徴や、パターンを絞り込むためのフィルターは人間の手で修正を加えていく必要があります。
ディープラーニング(深層学習)のAI
マシーンラーニングの応用であるディープラーニングのAIは、データの中から着目すべき特徴を機械自身で自動的に定義することが可能となります。
人間の手を借りずに、注目すべきだと思えるポイントの認識やフィルターの選択もできてしまうので、より包括的な判断や予測をすることができるのです。
大量のデータを使用したトレーニングが必要になり、その読み込むデータの質によって、人間の感覚に近い情報判別が可能となります。
Webマーケティングの分野においては、現在は基本的にマーケターの知見をツール化させたルールベースとマシンラーニンのAI活用が、大部分を占めております。
ディープラーニングのAIを活用したサービスも近年続々と導入されていますので、更なる可能性を感じられますね。
マーケティングにAIを導入するメリットとは
マーケティング分野において、膨大なビッグデータを取り扱うことは多くのメリットをもたらます。
その一方で、データ分析に人の手をかけている比重が多ければ、その分多くの時間を奪われてしまうことになります。
新たなアイデアや企画提案に時間を費やしたくても、なかなか思うようにいかなくなってしまう方も多いのではないでしょうか。
そこでAIをマーケティング作業に導入することはさまざまな側面で変化をもたらしてくれるのです。
膨大なデータを扱うデータ分析の業務に使える
マシンラーニングのAIを活用により、データ分析の業務が圧倒的に効率化されます。
また扱うデータが多ければ多いほど将来の予測やマッチング提案の精度も上げることも可能ですし、市場の予測や顧客のデータ分析にもAIは活用できます。
企業マーケティングにおいては、顧客単位でデータを分析でき、より顧客に即したコミュニケーションが可能になるでしょう。
データ分析の時間が省けるのでクリエイティブワークに時間がさける
マーケティング部門での人材不足は深刻と言われていて、データを整備できていたとしても、データを使ってマーケティングにつなげる人材が不足しています。時間がかかる分析をAIに任せてしまえば、人材不足も解消され、人にしかできないクリエイティブワークに集中することもできます。
またマーケティング施策の精度向上によるコスト削減効果もメリットです。
ムダな広告宣伝費などを使う必要がなくなるので、人による営業活動も効率化することが可能だからです。
では、実際にWebマーケティングにおけるAIの活用例を見ていきましょう。
WebマーケティングにおけるAIの主な活用例
リスティング広告
入札価格をこまめに調整しなければならない自動入札やレポーティングの自動化。
ディスプレイ広告
媒体ごとの配信最適化。ある程度の条件を指定すると、あとはAIが最適化して広告運用を行ってくれるというもの。広告在庫の買い付けや広告配信、オーディエンスターゲティングなどの雑務を自動化できる。
アクセス解析
分析レポートの自動化や、大量のデータから見つけ出した課題ごとに改善方針提案までも自動で行う。
SEOサポート
Googleの検索順位決定にRankbrainというAIが活用されている。ユーザーの検索ワードが例え曖昧な内容であっても、関連情報と結びつけて検索意図を理解・予測をすることができる。
Web接客
とくにポップアップ表示において活用が進んでいる。ユーザーの属性・閲覧ページ・購買履歴などの指標に応じて、ユーザーの好みのコンテンツやカテゴリを表示させたり、適切なバナーやクーポンを表示させる。
Webマーケティングは学習データとフィードバックを収集しやすいため、広告の分野では出稿予測・運用・解析などにAI活用が期待できます。
マーケティングにAIを導入するメリットとその活用例についてお話ししてきました。
ここからはより具体的なツールと実際の成功事例をみていきましょう。
AIを生かしたマーケティングツール
ユーザーや顧客のデータ属性、購買行動に関するデータ分析、広告のパーソナライゼーションなどに広く活用されています。
チャットボット
チャットボットを顧客対応に活用している企業も増えています。
たとえば、検索した単語が含まれた内容や質問を回答するFAQ検索は、ビジネスでも広く浸透しています。
セマンティック検索(意味検索)ができるように設定されているため、キーワードや質問文章から意味を検索し会話形式で回答をすることができるのです。
チャットボットの機能を搭載することで、実際に人が対応する顧客の件数を減らすことができます。
その分一人ひとりの顧客に費やせる時間が増えるので、サービスの質が上がったり、業務の効率化を図ることが可能となります。
レコメンド
ECサイトやWebページで訪問者の閲覧履歴や購買履歴を分析して、ユーザーの好みに合わせた商品やサービスを提案していきます。
レコメンドエンジンを使用してしてサイトに導入することで、対面販売員の代わりに商品提案ができるようになるのです。
購入見込みの高いユーザーに対して、最適なタイミングで商品の提案ができるようになるので、顧客単価や購入単価のアップやリピーターの獲得につながります。
顧客分析
実店舗やECサイトを訪れたユーザーの属性や行動を分析し、マーケティングに生かします。
たとえば、防犯目的で使用されることの多かったカメラにAI技術を搭載することで、混雑時の顧客同線の最適化やより交換の高い商品陳列、顔認証による顧客属性の把握などができるようになります。
AI × Webマーケティングの成功事例
4つの事例から、マーケティングでのAI活用の可能性をみていきましょう。
SENSY (レコメンド)
アパレル業界では、ディープラーニングが搭載されたAIアプリ「SENSY」が多用されています。
ユーザーが過去に購入した商品の嗜好を分析し、自社商品を紐付けて最適な商品をレコメンド。
三越伊勢丹ではSENSYを接客時のサポートツールに活用したり、はるやま商事ではAIによる商品提案をDM(ダイレクトメール)に活用をしています。
アパレル商品は、同じ型番でも幅広いサイズや色に分かれるため、人の手でユーザーの好みを分析するのは効率的とは言えません。
SENSYの導入は膨大な商品情報とユーザー情報を効率的に結びつけることを可能にしました。
CANDY(Web広告)
Web広告配信ネットワーク「CANDY」では、ユーザーの今の興味に寄り添った広告表示を可能にしました。
これまでのWeb広告では、ユーザーがこれまでに閲覧したページをCookie(クッキー)から読み取って、関連性の高いコンテンツを表示さる方法が主流でした。
CANDYはユーザーが閲覧中のコンテンツのトピックと一致する広告を自動選定し、関連性の高いコンテンツを限りなくリアルタイムで表示するため、従来のミスマッチな広告表示を防ぐことが可能となりました。
大手Webポータルサイトにおける実証実験では、3倍ものクリックレートを達成したようです。
XPS(Web接客)
AIによるWeb接客を可能にしたのが、オンラインサービスの「XPS」です。
消費者と自然言語で質疑応答できるIBM Watsonを搭載しており、ユーザーの嗜好やニーズにあった商品をオススメできるようになりました。
いつどこで使うか、どんな素材が好きかなど、簡単な質問に日常使う言葉で答えるだけで、目的や好みにあったアイテムを進めてくれるのです。
これは膨大な商品情報の中からユーザーに最適なものをレコメンドする機能に、質疑応答ができるデジタル店員の接客が加わったものです。
ABEJA Platform(顧客分析)
中古車販売の株式会社IDOMは、店舗に来店者の属性や行動パターンをAIで解析する「ABEJA Platform」を導入したことで店舗改善に活用しています。
来店した顧客の行動をヒートマップで可視化してくれるため、店舗のレイアウト・同線・接客の見直しのサポートになっています。
結果として、導入店舗では他の店舗よりも1割程度、展示車の販売が多くなっているようです。
Webマーケターの仕事はAIに取られてしまうのか?
以上のように、AIはマーケティングの分野において大きな効率化を図れることがわかりました。
また、活用例が増えるにしたがって「近い将来、マーケターの仕事はAIに奪われてしまうのではないか」という不安の声も上がっているようです。
たしかに膨大な量のデータを収集したり分析したりする作業は、人間よりもAIの方が優れています。
したがってマーケターの仕事の中でも「分析」をはじめとする作業がAIに取って代わられる可能性は高いでしょう。
しかしその先の、データや分析結果を元に全体的な戦略を練ったり具体的な施策を立案したりすることは、現在のAIにはできない領域です。
そしていくらAIにできることが増えたとしても、最終的にはWebマーケター自身が意思決定を下さなければならないのです。
まとめ:AIが普及する世の中でWebマーケターに求められる素質とは
AI活用が急速に進む時代において、今後Webマーケターに求められるスキルとは何なのか、課題が見えてきたのではないでしょうか。
いくらAIにできることが増えてきたとしても、適切に活用しなければよい結果は得られません。状況や目的に応じて適切なAI技術を見極めて使いこなす能力が求められるのです。
そして新たなアイデアや企画提案などを生み出すクリエイティブさ、折衝能力のある人がWebマーケターとして重宝されるようになるでしょう。
また人の感情が大きく関わるような局面では、依然として人対人のコミュニケーションが求められるはずです。
顧客や取引先などとコミュニケーションをとったり、信頼関係を築くことや共感することは人にしかできませんよね。
ウェイトの大きい作業はAIに任せ、人とのコミュニケーションに時間を費やすことで信頼関係の構築につながるでしょう。
AIに奪われる仕事を不安に思う方もいるかもしれません。そうだとしても、うまく利用して味方につけようか?と考える方が建設的ですよね。
これからも適切にAIを活用できるための情報収集、そして人にしかできない仕事のスキルアップに励んでいきましょう。