メルマガの配信方法(形式)には、いくつかの種類があります。
メルマガ配信システムをすべて自分の手で構築してメルマガを配信することもできますし、有料のサービスやシステムを利用してメルマガ配信することも可能です。
メルマガの配信方法は種類によってメリットとデメリットがあり、あなたの目的に対して適切なもの、不適切なものがあります。
この記事ではメールの内容や読者のニーズに合わせて最適な方法を選べるように解説していきます。
初めてメルマガ配信するならクラウド型配信のほうがカンタン
あなたがもしメルマガ配信を配信していて通常のメーラー等で配信してしまっているなら、一度メルマガ配信サービスの利用を検討してみてください。
この記事で説明するオンプレミス型のような大規模なシステム構築はハードルが高いですが、「クラウド型配信」であればメール配信サービスが提供しているシステムを利用するだけなので気軽に利用できますよね。
メルマガをテスト導入をする場合も気軽にでき、機能も十分です。
では、詳しくメルマガ配信のサービスなどを見ていきましょう。
メルマガ配信は“手動配信”と“配信サービス利用”のどちらがよい?
メルマガの配信方法として、一般的に行われている方法は大きく2つあります。
具体的には、通常のメーラーを使ってBCC機能などを使って一斉送信でメールを送信する方法と、一斉送信に特化した「メール配信サービス」を利用する方法の2つがあります。
1.TO送信・BCC送信を使い普通のメールとして送る
通常のメーラーを使ってBCC機能などを使って一斉送信でメールを送信する方法は、文字通り個人で使うメーラー(例えばGmailやOutlookなど)を使用して100件、200件のメールを一斉送信する方法です。
この方法でメールを送る場合、TO送信かBCC送信することになります。
TO送信は1件1件の宛先にメールを送信することができますので、個人個人に異なるメール内容を送ることができますが、手動配信のため手間がかかります。
その一方BCC送信は、メルマガ登録読者をBCCの送信リストに登録し、複数名に同時に同じ内容のメールを送信する方法です。
BCC送信では送信先のアドレス(一斉送信した送信先)は受信者側には表示されないので受信者は他に誰にこのメールが送られているかは分かりません。
とりあえず、これだけ見ればBCC送信でも十分メルマガ配信ができるように思えますし、TO送信を使えば個別に内容を買えられますのでメルマガ運営ができそうですよね?
通常のメーラはー無料で使えますし、何百件、何千件もメールがあったとしても、分割送信する手間を除けば問題なくメルマガ配信できそうです。
TO送信・BCC送信でのメルマガ配信で起きるリスクには、①手動操作でのミス、②メールサーバー側であなたからのメールがブロックされるという2つのリスクがあります。
BCCなどでメルマガを手動送信時にミスが起こりやすい
“手動操作でのミス”では、単純に送信先の設定時に入力ミスをし、読者のプライバシーが侵害されてしまうということです。
例えば、BCCなどにアドレスを追加していく過程でミスをしないとは限りません。誤って設定してしまうと個人情報の漏えいにつながります。
一度送ったメールは削除できませんから、たった1回のミスで読者の個人情報が漏えいすれば、送信元であるあなたのイメージダウンにつながってしまいますよね。
BCC送信で大量のメールを送るとスパム判定され届きにくくなる
また同じメールアドレスから大量にメール送信をすると、スパムメールと判定されやすくなり“IPアドレスがブラックリスト入り”になってしまう可能性があります。
一般的なメーラーは大量配信専用ではないため、一斉に大量のメールを送信すると迷惑メールになりやすいのも知っておくべきです。
迷惑メールに認定されるとサーバーで送信制限される可能性も高くなり、読んで欲しい情報が届かなくなりますし、メルマガだけでなく通常のメールも相手に届きにくくなるという事態が起きやすくなります。
もちろん、メールを分割して時間をかければスパム判定されるリスクも減らせる可能性もありますが、作業的な時間がかかるというデメリットが生じますのでどちらがいいか?ですよね。
BCC送信でブラックリスト判定される仕組みなど詳しいことはこちらの記事にもまとめていますので、自分のメルマガが届きにくいなと感じている方はみてみてください。
2.メール配信サービスを利用する
手動でメルマガ送信する際のデメリットは、専用のメール配信サービスを利用することで解決できます。
メール配信サービスでは専用の送信フォームから入力しますので、手動で件名を入力する必要もありません。そのため配信時の手動作業で設定ミスをして情報漏洩をおこすミスも防ぐことができるでしょう。
またメール配信サービスとはメールを大量送信するためのシステムですので、1000通、1万通といった大量のメール送信も可能になります。
メルマガ配信は、読んで欲しい情報が確実に届かなければ意味がありませんので、なるべく迷惑メールフォルダに振り分けられないようメール配信サービスを利用する方が確実です。
またメール配信サービスを利用することでのメリットもあり、
- 送信時間を設定できる
- 読者の反応を測定することができる
などの独自機能があり、読者(相手)の反応が見えやすいため、売上UPの施策を練りやすくなるメリットがあります。
ただメール配信サービスの利用料がかかるという点はデメリットです。
利用料金についてはサービスによって様々ですが、月々数千円程度からサービスがありますので比較的低コストで運営できます。
また「オレンジメール」など無料お試し期間を設けているメール配信サービスもありますので、一度探してみると良いでしょう。
メール配信サービスなら大量送信・セグメント送信どちらもできる
メール配信サービスが行えるメール配信方法として、一括で同じ情報を送る大量送信型配信と送り先にごとに送信内容を分けられるセグメント型配信があります。
読者リスト全員に一斉送信されてくるメルマガの場合、全員に同じ内容を届けるため自分に必要な情報ばかりくるとは限りません。
自分に関係ない情報が多いと、メルマガは興味を薄れさせ、やがて読まなくなってしまう可能性が高いでしょう。
ですがもし、届いたメールが受信者にとって関係のある内容や興味のある内容ばかりが届くとしたら、メルマガを読む確率は高くなりますよね。
それができるのがセグメント型配信の利点です。
通常、セグメント配信では配信対象を
- 年齢や地域、性別などの「属性」
- 商品を購入した、セミナーに参加したなどの「行動」
によって分類します。
こういったメルマガ読者の属性情報は通常のメーラーではデータ収集ができませんがメール配信サービスを利用すれば比較的カンタンに行うことができます。これが最大の利点です。
さらにメール配信サービスを使うと、メールの開封率やクリック率の測定など、メルマガの反応をチェックすることも可能です。
こういったことを踏まえても、手動でメルマガ配信するよりメール配信サービスを使用するほうがメリットは大きいですよね。
メール配信システムは“オンプレミス型”、“クラウド型”の2種類
次に、メール配信システムについて詳しくお話していきます。
メール配信システムには大きくオンプレミス型配信とクラウド型配信という、2種類のメール配信システムに分かれます。
- オンプレミス型配信:自社内にメール配信システムを構築
- クラウド型配信:他社のメール配信システムを借りる
どちらもメールの大量送信が可能ですが、ビジネス規模やニーズによってコスト・機能・セキュリティが変わってきますので、自分にあった方法を選択してくださいね。
オンプレミス型メルマガ配信とは
オンプレミスとは自社サーバーへソフトウェアをインストールし、メルマガ配信などのサービスを利用する形態のことをいいます。
メールサーバーを作りメルマガ配信専用ソフトをインストールするといった手間がありますが、細かい調整や管理が自社内で完結できるなどのメリットがあります。
初期コストとしてかかるのは、
- サーバーなどの機器代
- メルマガ配信専用ソフトの購入費用
導入後は、
- 電気代(導入後)
- 保守のための人件費
などのコストがかかります。
ただオンプレミス型はクラウド型よりもカスタマイズが自由自在に行えます。
そのため今後利用範囲を拡張したい企業やグループウェアと併せて利用したい企業などに向いています。
また、システムを社内で完結できるためセキュリティを重視する企業も導入に向いているでしょう。
オンプレミス型メルマガ配信のメリット・デメリット
オンプレミス型は自社内で管理が可能なため、カスタマイズの自由度が高いのもメリットの1つです。
現場で使用している社員が使いやすいようにカスタマイズしたい、もっと最適な環境にしたいなどと考えたとき、自由に調整を行うことができます。
また、自社の既存システムとの連携・統合が自由にできるのもオンプレミス型の特徴です。社内に技術者がいれば、既存システムと統合して自社オリジナルのシステムを構築することも可能でしょう。
ただしオンプレミス型はインフラ整備に時間を要するため、導入してからメルマガスタートまでに時間がかかるというデメリットも持っています。
実際に導入を決定してから稼働するまで数カ月かかることもあるので、スケジュール調整を入念に行う必要があります。
オンプレミス型の導入には費用・技術が必要というのも抑えておきたいポイントです。
初期費用は数百万円以上かかることもあるほか、自社内で管理するため技術者も必要となります。
クラウド型メルマガ配信とは
クラウドとは自社にサーバーを設置するオンプレミス型と違い、他社サーバーを契約して使う形態のことをいいます。
メール配信業者のシステムを利用する形のため、自社で自由にカスタマイズすることはできませんが、管理や保守をしなくても済むのが特徴です。
一般的にはASPなどアプリケーションをネットで提供する事業者のソフトウェアを利用し、メルマガ配信を行います。
インターネット環境があればどこでも利用でき初期コストがかからない、または安価で済むのがクラウド型の特徴ともいえるでしょう。
社内に技術者がいない企業や手間をかけずにサービスを利用したい企業、コストを抑えたい企業など、手軽に利用可能なサービスを求める会社向きなのがクラウド型メルマガ配信です。
クラウド型メルマガ配信のメリット・デメリット
クラウド型のメリットは初期コストがあまりかからず、メルマガスタートまでにかかる時間が短いところです。メルマガスタートは場合によって即日利用できることもあります。
その代わりサービス利用料というランニングコストが月々発生してきます。
ただし費用は月額数百円から数千円が相場だといわれており、ほとんどの場合、オンプレミス型のように数百万単位になることはありません。
初期コストも無料か数千円程度のコストで済みます。
また他社(配信サービス)のシステムを利用するので、配信システムのメンテナンスは丸投げできます。
自社内で管理する必要がないため、スタッフも専門知識がなくても気軽に利用できるのがクラウド型のメリットです。
そうそう起こることではありませんが、インターネットを介しての利用となるため、送受信の際にデータをハッキングされるなどリスクがあることは否定できません。
ほかにも手軽に使える反面、提供サービスの仕様に合わせる必要があり自由にカスタマイズできないなど出来ることが制限されているのもクラウド型のデメリットです。
社内のシステムとの統合も自由にできることは少ないため、独自の自社システムを構築したい場合には向いていないでしょう。
障害が発生したときも、自社で復旧できないところがデメリットとなるかもしれません。
メルマガのメール配信形式“4つ”の概要とメリット・デメリット
最後に、メールの配信形式について、テキスト形式とHTML形式をご紹介しておきます。
基本的にメールは文字だけで伝えることが中心なのでテキスト形式のメールが多くなりますが、画像や動画を使いたい場合はHTML形式の方が適しています。
1.テキスト形式メール
テキスト形式メールとは「文字だけのメール」のことです。
文章だけで宣伝などの伝えたいことを表現していて、企業のメルマガや個人同士のメッセージのやり取りなど、さまざまな場面で利用されています。
テキスト形式メールは、文字コードのみを使っていることが特徴です。
多くのメルマガはモノクロのテキスト形式メールを採用していて、一般的なメルマガの形式と言っていいでしょう。
コンピューター内部で使用できる文字は、国ごとに「識別番号」があります。識別番号のことを文字コードと呼び、文字コードのみで作った文章をテキストと表現する決まりです。
色文字や画像で装飾していないシンプルなメールになるため、記号や飾り文字・段落分けなどをして、見やすくする工夫が必要になります。
テキスト形式のメリット・デメリット
テキスト形式メールのメリットは、文字だけで作成するため誰でも簡単に作れて配信できる点です。
専門知識や作成ソフトなどのツールが必要なく、メールにテキストを入れるだけで作成できます。
また、テキスト形式メールは相手のインターネット環境やメールソフトに影響されず、どの配信方法でも受信されます。
ですがテキスト形式メールであれば文字しか情報がないため、はじかれることは少なく問題なく表示される確率が高くなります。
テキスト形式メールのデメリットは、メールに付けられる機能の自由度が低いことです。
基本的にはモノクロのテキストのみになるので、画像や色文字を入れることはできません。
つまり、配信システムに左右されることは少ないですが、画像によるアピールはできないのです。
メールマガジンの場合、相手が興味を持ってくれるような視覚的訴求も必要になるため、飾り文字などで工夫をする必要があります。
テキスト形式メールは、開封率などの効果測定の施策がしにくいのもデメリットです。
効果測定の施策をした時には、パラメータなどを隠せず、計測用アドレスの表示がされてしまいます。
2.HTML形式メールとは?店舗や企業のメルマガに多い
HTML形式メールとは、「Webページのようなメール」のことで、ECショップから送られて来るメールマガジンなどでよく目にすることができます。
文字のみを記録するテキスト型に機能を足し、文字の大きさや色の調整、図表や画像の添付などができることが特徴です。
また個人のメルマガ運営者でもHTML配信を使用している方もいます。
HTML形式メールは、具体的なイメージを伝えたい時に効果がありますので、例えば実際の写真や動画を入れその横に分かりやすく文章やリンクを入れる、ということも可能です。
HTML形式のメリット・デメリット
HTML形式メールのメリットは、視覚的訴求ができ読んだ人が理解しやすいことです。
文章を読むのが億劫な人でも、HTML形式の画像やリンクだけなら見てくれる場合があります。
また、開封率を計測するパラメータやリンクを自然に入れられて、メールを多機能化させることもできる点がメリットです。テキスト形式メールではできない効果測定の施策も可能になります。
HTML形式メールのデメリットは、作成方法が特殊なことです。
テキスト形式メールではツールや専門スキルは必要ありませんが、HTML形式メールでは作成ツールを用意してから、HTMLでの記述が必要になります。
HTML形式メールは受信者のメールソフトやセキュリティ設定などの環境に左右されるのもデメリットです。
HTMLメールの配信ができないメルマガ配信システムもあり、利用環境によっては、タグのみが表示されて見にくくなってしまいます。
さらに、HTML形式メールはテキスト形式メールに比べて、メール容量が大きいです。
多くの画像を使用しているとサーバに負担があるだけでなく、受信者のセキュリティソフトではじかれ、表示されない可能性もあります。
3.絵文字入りメルマガ
使いたい絵文字をコピーして、通常のテキスト・件名に挿入することでメールに絵文字をつけることも可能です。
配信サービスによってはできないこともあるかもしれませんが、テストしてみて表示されるようであれば絵文字を文中・件名に入れることでインパクトのあるメルマガを作成することも可能です。
ただし絵文字を自動で挿入できる仕組みを整えたメルマガ配信サービスを除き、入れるためにはUnicode絵文字の知識が必要なため少し難しいかもしれません。
4.マルチパートメール(HTML+テキスト)
HTMLメールとテキストメールを両方同時に送信できるのがマルチパートメールになります。
HTMLメールはHTMLコードが埋め込まれたメールのため、受け手のキャリアが対応していないとメールが開けません。
最近では多くのスマホはHTMLメールが開けますが、ガラケーなどの携帯メールでの受信は文字のみメールしか受信できないことがあります。
こういったシステムを持っているメール配信システムを使う場合は、全員にメールを送りつつHTMLメールが読める方には視覚的効果の高いメールを送ることができるのです。
これからメルマガを配信する場合は、まずは最もシンプルな「テキスト形式」から実践してみるとよいでしょう。テキストメールでも十分反応は取れますので、まずはカンタンで汎用性があるやり方からおすすめします。
メール配信を試してみたい、という方は「オレンジメール 」など安価で高機能なメール配信サービスもありますので早い段階でまずは実践してみてくださいね。