「みなさん、せっかく作ったメール届いていますか!?」
こんにちは!株式会社プリモポストの日吉浩之です。 メールが”届かない”というお悩みは、多くの方が抱えていることと思います。
その原因は多岐にわたりますが、もし皆さまが新しい独自ドメインでメルマガ配信を始めようとしているなら、ぜひ知っておいていただきたい大切なステップがあります。
それが『ドメインウォームアップ』です。
今回は、新しいドメインをどのように”育てて”いけば、確実にメルマガが届くようになるのか、その秘訣をお伝えしたいと思います。
監修者
株式会社プリモポスト 取締役
メール到達 エバンジェリスト
日吉 浩之
2006年より一貫してメール配信の最前線に携わり、業界歴19年の経験を持つ。
メールマーケティングの成功を左右する「開封率向上」と「確実なメール到達」を二大テーマとし、そのための本質的な要素を追求。
世界の最新情報と最先端テクノロジーをいち早く日本に導入し、常に進化するメール環境下で、企業さまのデジタルコミュニケーションを最適化する道を拓いています。
メール到達のスペシャリストとして、複雑な課題を解決し、お客さまのビジネスを次なるステージへ導きます。
新しいドメインは「赤ちゃん」と一緒!?最初の行動が命運を分ける
「新しいドメインで心機一転、今日からメルマガをたくさん送るぞ!」
もしあなたがそう考えているなら、少しだけ待ってください。実は、新しい独自ドメインでいきなり大量のメルマガを送るのは、非常に危険な行為です。
考えてみてください。生まれたばかりの赤ちゃんが、いきなり大人と同じ食事をしたり、大人と同じように走り回ったりすることはできませんよね。
ゆっくりとミルクから始め、少しずつ固形食に慣れ、徐々に体力をつけていくように、新しいドメインも「信頼」を築き上げるのに時間と「育て方」が必要なのです。
メールの世界でも同じことが言えます。GoogleやMicrosoftといった大手メールサービスは、新しいドメインを「実績のない未知の存在」として見ています。
まだ誰も信用していない郵便局(メールサービス)から、いきなり大量の郵便物(メール)が届いたら、「これは迷惑郵便ではないか?」と疑われてしまうのは当然ですよね。
この「疑い」を払拭し、「このドメインからのメールは安全で信頼できる」とメールサービスに認めてもらうためのプロセスが「ドメインウォームアップ」です。
これを怠ると、せっかくのメルマガが迷惑メールフォルダに直行したり、最悪の場合、ブロックされてしまったりする可能性が非常に高まります。
なぜ必要?新規ドメインの「信頼」を育むメカニズム
では、なぜ新しいドメインに「ウォームアップ」が必要なのでしょうか?その仕組みを見ていきましょう。
新しいドメインには、過去のメール送信履歴や評価が一切ありません。メールサービスは、過去の行動に基づいてドメインの信頼度を判断するため、履歴がない新しいドメインは、最初から信頼度が低い状態です。
ドメインウォームアップは、この信頼度を段階的に高めていくためのプロセスです。
具体的には、少量からメールを送り始め、徐々に送信量を増やしていくことで、メールサービスに「このドメインは怪しいメールではなく、ちゃんとしたメールを送っている」と学習させることを目指します。
各メールサービスは、異なる基準でドメインの信頼性を評価しています。
Google(Gmail)の場合
受信者の「行動(エンゲージメント)」を重視します。メールの開封、返信、クリックといった、読者の前向きな行動が多いほど、ドメインの評価が良くなります。
Outlook(Hotmail)やYahoo!メールの場合
送信元の「一貫性」や、ユーザーからの「迷惑メール報告」といったフィードバック、そして送る「量(ボリューム)」を重視します。急な大量送信や、内容が不安定なメールは特に嫌われます。
もしウォームアップをせずにいきなり大量送信を行うと、これらのメールサービスはあなたのドメインを「迷惑メール送信者」とみなし、メールの到達率が著しく低下してしまいます。
これは、せっかくのメルマガが読者に届かないだけでなく、後から挽回するのも非常に困難になるため、最初の「育て方」が極めて重要になります。
今すぐ実践!新規ドメインの「育て方」と注意点
では、新しいドメインをどのように「育てて」いけば良いのでしょうか?一般的なウォームアップの進め方と、注意すべきポイントをご紹介します。
1. 基本の「育て方」:段階的なメール送信
最も大切なのは、ごく少量から始めて、徐々に送信量を増やしていくことです。
最初のステップ(Gmail向けの一例)
- 1日目:ごく少量のメール(例: 50通)から始めましょう 。
- 最初の1週間:毎日少しずつ増やします(例: 1日あたり100通ずつ増加) 。
- その後:5,000通/日になるまで、毎日500通ずつ増やすことを目指します 。
最初の10日間は広告目的の本格的なメルマガ(「キャンペーンメール」)は避け、少量のテストメールなどで信頼性を高めることに集中しましょう。
2. 信頼を築くための「育て方」のコツ
メールの配信量を増やすだけでなく、以下の点も意識して「質の良い育て方」を心がけましょう。
読者からの良い反応(エンゲージメント)を促す
テストメールなどで、開封、返信、クリック、お気に入り登録、迷惑メールではないと報告する、といった人間らしい行動を促すことが重要です 。
OutlookやYahoo!メールでは、このユーザー行動が特に重視されます 。まずは、自社の社員や関係者のアドレスに送り、積極的に反応してもらうのが効果的です。
送信量の「一貫性」を保つ
一度に大量に送ったり、急に送るのを止めたりする「急激な変化」は避け、毎日安定した量を送るようにしましょう。
メールの「身分証明書」を完璧にする
SPF、DKIM、DMARCといった「なりすまし対策」の認証設定が正しく行われていることを確認し、可能であればBIMIも設定しましょう。
件名(メールタイトル)や内容に気を配る
件名に「無料」「割引」「お試し」などの販促を強調する言葉を最初から使いすぎないようにしましょう 。
同じ件名を繰り返したり、画像が多すぎるメールは避けましょう。
リンクの短縮ツールや測定用のトラッキングツールも、最初のウォームアップ段階では控えるのが賢明です
3. ドメインの状態を「健康診断」する
ウォームアップ中は、定期的にドメインの状況をチェックすることが不可欠です。
Google Postmaster Toolsを毎日チェックする
Google Postmaster Toolsで、ドメインの評価や迷惑メール報告率などを毎日確認しましょう 。
もしGoogle Postmaster Toolsにデータが表示されない場合は、ウォームアップの量を増やして、フィードバックを得るように促すことも必要です 。新規ドメインは1カ月間で15万通程度の配信が目安です。
迷惑メールに振り分けられていないか確認する
Gmail、Outlook、Yahoo!メールなど、主要なメールサービスでテスト用の受信箱を用意し、実際にメールが迷惑メールフォルダに入っていないかを確認しましょう 。
異常があった場合の対応
もし迷惑メール報告が増えたり、ブロックされたりした場合は、すぐに通常のメルマガ配信を一時停止し、テスト送信の割合を増やすなどして、原因を分析しましょう。
状況が改善しない場合は、サブドメイン含め、別のドメインに切り替えることも検討します 。
まとめ
新しい独自ドメインでメルマガを配信する際、「ドメインウォームアップ」は、あなたのメルマガを確実に受け取り手に届けるための「必須の育て方」です。
いきなり大量送信するのではなく、まるで赤ちゃんを育てるように、少量から慎重にメールを送り始め、徐々に量を増やしながら、メールサービスからの「信頼」を丁寧に築き上げていきましょう。
段階的な送信量の調整、読者からの良い反応を促す工夫、そして定期的な「健康診断」が、あなたの新しいドメインを「信頼される送り主」へと成長させる鍵となります。